フードロス削減のために私たちが取り組んでいること【精米工場・炊飯工場】

長野米コラム 精米 炊飯・加工品 SDGs

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今回は当社のSDGsの取り組みの一つでもある、「フードロス削減」への取り組みについて紹介いたします。

当社は「お米」や「ごはん」といった食品を扱う会社ですので、フードロスについては提供する側として考えていかなければならない立場にありますし、実際に次のような取り組みを行っています。

目次

精米工場での取り組み

「精米年月日」表示から「精米時期」表示への変更

当社のメインの取り扱い商品はご存じの通り精米製品ですが、精米製品の特長として賞味期限表示がないことが挙げられます。では、どんな表記になるかというと店頭に並ぶ精米製品には「精米時期」表記が義務付けられています。精米時期は精米、袋詰めした年、月、時期(上旬、中旬、下旬)で表記されます。当社ではこれに袋詰めした時刻とパッカーがわかるように独自のロット記号を付与しています。

フードロス-1

本来食品ロスの観点からすると無駄な商品を作らないことが理想ですが、実際にはアイテム数も多く、なかには精米ロットに満たない受注もあるため計画生産が主体となっています。

以前は精米年月日表記だったため、よりシビアな管理をする必要があり、少しでも消費者の皆さんが古いと感じられると手に取っていただけないこともあり、「売れ残り」となるケースがありました。これに対してフードロスの観点から少しでも手に取っていただきやすくなるように業界として働き掛けを行い、現在の旬別表記に変わりました。

炊飯工場での炊飯用ごはんに使用

出荷段階で、店頭に並ぶ商品としてはその後の店頭販売までの日数を考えると出荷しづらい精米時期のものに関しては、最終的には出荷せず当社の炊飯工場で使用し、ごはんとして提供しています。(銘柄はまちまちなため、そのまま使うとごはんの特性が変わってしまいます。そのため、使用先商品や使用割合を考えながら使用しています。)

現在は生産現場でも日々受注部門と連携しながら生産量を決めていますが、今後AIの発達等により精度の高い生産計画が立てられるようになればいいなと思います。

地域密着型食品ロス削減アプリ「HELAS」

当社は米穀卸ですので、店頭での一般個人向けの直接販売は行っておりません。ネット通販での販売が唯一消費者の皆さんにつながるツールとなっています。

工場段階でのロスのお話はしましたが、最終的に炊飯商品の原料としての使用が行えるとはいえ、少しでも商品としての販売も行ってみようということで、地元の信濃毎日新聞が運営しているHELAS(地域密着型食品ロス削減アプリ)の利用を始めました。

フードロス-2

HELASは、いわゆるフードロスマッチング、フードシェアリングといわれるものですが、提供側が日付等の問題で廃棄せざるを得なくなってしまった食品を登録し、アプリ利用者(消費者)が近くの店舗を検索し、希望商品を購入できるといった仕組みです。

8月から不定期で、賞味期限により出荷が制限されたパックごはんや新米切り替え時の精米製品在庫などを販売しましたが、いずれもあっという間に完売して約230kgのフードロスを削減することができ、これまでにない需要を実感しました。

フードロス-4年産切り替えに伴い、出荷が出来なくなってしまった5年産の精米

フードロス-3賞味期限により出荷制限がかかってしまったパックご飯

当然利益にはつながらないものですし、米穀卸として利用頻度は高くない方がいいに決まっていますが、フードロス削減の取り組みとして選択肢が一つ増えました。

炊飯工場での取り組み

炊飯工場でもそれぞれの段階で取り組みを行っています。こちらは商品の特性上、受注製造になります。使用量の多いごはんに関しては、製造・加工段階でのロスも勘案しながら製造量を決めますが、現状では炊飯歩留まり等から決して安定しているとはいえません。製造する機械特性から、ゼロにはできにくい環境ではありますが、工夫をしながら製造をしています。

飼料として再利用

炊飯工場は365日の稼働ですから日々廃棄対象は出てきます。地元の養鶏業者さんにご協力いただき、飼料として提供し廃棄量を減らしています。間接的ではありますが、他の食材が生まれる糧として役立っています。

工場直売

そのほか、炊飯商品も直接販売を行っています。各アイテムごとに準備した半製品をパック詰めし、炊飯工場で直売しています。こちらの取り組みでは、2023年度は約665kgのフードロスを削減することが出来ました。
毎回販売する商品は変わりますし、偏りも出ますが近隣の皆さんに利用していただいています。

フードロス-5皮が破れてしまったいなり寿司や、過剰製造してしまったのり巻き

精米で紹介したHELASにも挑戦しましたが、炊飯商品は消費期限が短いことが販売・消費の壁になり、購入申し込みがほとんどなく、HELASの対象としては馴染まない食品ということがわかりました。

フードロス削減のために

これまで述べてきたように当工場でも、食品ロスに関してはゼロにするのは容易ではないことを実感していますが、試行錯誤をしながら継続的に進めています。
当社の工場を出た後も、店頭に並び、最終的に消費者の口に入るまでにさまざまなロスの機会が生まれることになりますが、いつでも何でもある社会になじんでしまった我々としては後戻りはできません。この環境下でいかに出来ることをそれぞれが行っていくかが大切だと思います。

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