社長コラム16 令和のコメ騒動~今後のコメ流通の在り方~

精米 玄米 社長コラム

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当社代表の塩沢均による連載コラムです。

Shiozawa@2x-1

社長の塩沢です。
ベイクックについてはもちろん、稲作や長野米のお話、その時々の話題や情報など私なりに感じたことをお届けしていきたいと思います。どうぞお付き合いください。

 

「令和のコメ騒動」は、かなり落ち着きを取り戻してきているようです。本年の新米で対応していくので、産地や品種によって店頭に並ぶタイムラグがあるため、この原稿を書いている時点ではまだアイテムに偏りはあるかもしれませんが、今月中にはほぼ元通りに戻るのではないかと思います。

ただ、今後のコメの売れ方という点では心配してきたことが現実になりそうです。

農水省が全国約1,000店舗の食品スーパーにおけるPOSデータからコメ販売数量を集計、その結果を先月の半ばに公表しました。それによると、8月は月初から前年比で20~50%増の販売量で推移しましたが、8月26日週~は前年比+4.8%とグッと需要は抑えられ、9月2日週~は同▲1.2%、9日からの週は▲11.9%と、前年を下回る実績となっています。報じていた業界紙には「スーパー販売鈍化」の文字が躍っていました。

この夏は「コメがない」という報道が脅迫的(?)に飛び交い、家庭用を中心にストックが増加したと思われます。現在は新米への切替わりの中で例年以上に縁故米が出回っているとか、ふるさと納税でコメを返礼品に選択する人が増えているといった話も耳に入ってきます。その上、令和6年産米の高価格。売りにブレーキがかからないわけがないでしょう。

ここが正念場です。ここで消費が減り、コメが余り、それによって売価が大きく引き下げられてしまっては元の木阿弥、負のスパイラルだった数年前のコメ市場に戻ってしまいます。
そうしたリスクは簡単には回避できないでしょうが、以前このコラムでも触れたように、少しでも低減させるために、生産者、流通業者、消費者といった全ての関係者を巻き込んだ国民的な議論が今こそ必要なときだと思うのです。

いつでも手に入るはずだったコメが時に手に入らなくなることも起こり得るとしたら、そのことを受け入れるのか受け入れないのか。また、そうした事態を回避するためにコストがかかるのだとしたら、どのくらいのコストなら担ってもらえるのか。多くの消費者の声に耳を傾けた結果得られたコンセンサスの下でコメを作り、流通させていかないと、安心して作ることも買うことも出来なくなってしまいます。

「令和のコメ騒動」がそんなことのきっかけになってほしいと心から願っています。