持続可能な米作りを担う北海道米「えみまる」
稲作農業では全国的に高齢化が進んでいます。作付面積を維持するためには、生産者1戸あたりの作付面積を増やさなければならず、ICTやロボットなどを活用したスマート農業などが試験導入され始めています。その取り組みの一環として生まれたお米、北海道の「えみまる」をご紹介いたします。
そろそろ全国で田植えのシーズンになってきましたが、皆さんの「米作り」のイメージは大きく分けて「田植え」と「稲刈り」になるのではないでしょうか?
「えみまる」は田んぼに苗を植える従来の「田植え」ではなく、田んぼに直接種を播く方法に適した品種として開発されました。
この方法により、田植えまでに必要な苗箱の準備、土づくり、種まき、育苗といった作業を省略できます。もちろん、直播のために必要な準備はありますが、作業工程を大幅に減らすことができるため、労働力を減らす≒耕作面積を増やすことにつながります。
「えみまる」のさらに特徴的なのが、密苗にも向いている品種ということです。
田植え作業で目にするのが、田植え機の後ろにぎっしり育った苗を背負った姿です。この苗は、苗箱に種を播いて田植えが出来る大きさまで育てられたものです。密苗はこの苗箱に播く種もみの量を通常の3倍程度まで増やしたのもです。
播く量が増えるため、使用する苗箱の枚数、ビニールハウス等の資材などを削減でき、CO₂排出量の削減にまでつながります。また、扱う苗箱の数も減ることで作業量の削減を行うこともできるため、労働力不足も補えるようになります。
▲通常の苗
作り手側にとってのメリットは前述の通りですが、品種の特長としてはどうでしょう。これまでの評価では、「甘み」「硬さ」「粘り」の項目で、同じ北海道で主力品種として普及しているななつぼしと遜色ない評価が出ています。
▲「えみまる」の食味評価
▲「えみまる」の食味官能評価結果(令和3年産米)
作り手側の視点から、これからの稲作農業を担う新しい品種を紹介いたしました。これらは、今まさに求められている環境に配慮した取り組みといえます。
直播栽培は、ハウスでの「育苗工程」がない、つまりCO₂の削減が可能なことから、SDGsにおける「気候変動に具体的な対策を」実施しながら作付面積の維持を可能にします。
また、潜水直播栽培や高密度播種(密苗)は、慣行栽培と比較して温室効果ガスの発生を削減できます。
お米を選ぶ時の基準は「品種」であったり、「産地」や「食味」であったりします。そこに「価格」などの条件が加味されて最終的な決定を下されることが多いですが、これからはそこに「環境負荷の軽減に配慮されているか」という価値(企業姿勢)も重要な要素として加わっていくでしょう。
今回ご紹介した「えみまる」は北海道のJAきたそらちとの取り組みです。JAきたそらちでは平成18年から直播技術を導入し、様々な試験を重ねながら品質や収量の安定を図ってきました。
当社でも産地視察を行い、生産現場を確認しながら「えみまる」の導入、提案を行っていきたいと考えています。
当社では精米製品も炊飯製品も、どちらの製造工程においても品質管理と衛生管理を徹底しています。
食品業界に必須のHACCPについても、業界認定の「精米HACCP」「炊飯HACCP」の認定工場として、品質管理を行っております。
安全・安心のお米をみなさまにお届けしております。