12月7日に本年度の日本精米工業会による弊社精米工場の精米HACCP認定審査がありました。本年度も精米HACCP工場として認定を受けることが出来ました。
皆さんご存じの通り、令和3年から法令ですべての食品事業者がHACCPに沿った衛生管理の取り組みを行う必要が出てまいりました。
弊社ではすでに精米工場、炊飯工場ともにHACCP認定を受けていますので、今回は精米工場のHACCPの取り組みについて簡単にご案内します。
ベイクックの品質・衛生管理について
目次
精米工場ってなにをしているの?
「米屋なんだから精米してるんでしょ?」っていう、ごく当たり前の質問ですよね?
もちろん、精米機を使って精米をしていますが、実際の工程のほとんどは余分なものを取り除く作業に費やされています。お米は自然の農産物。獲れるのは田んぼ。ですので、ほかの農作物同様、お米一粒ごとに出来の差もありますし、虫に食われたり病気になったりもします。1枚の田んぼで収穫されるお米でも全く同じものはありません。また、稲刈りの時点では石や違う植物の種などいろいろなものが混じっています。稲刈り後、乾燥籾摺りして調整されたものが玄米で、当社には玄米の状態で入荷します。
ここから搗精の工程に入ります。まず、玄米の状態で入荷したお米を、精米する前の段階でお米以外のものを取り除きます。次に玄米の状態から白米の状態に精米します。精米後も割れたお米、色のついたお米、小さなお米などを取り除いて袋詰めします。最終的に皆さんの食卓(厨房)できれいにうまく炊き上がり、おいしいごはんになる精米製品を作る、それが精米工場の働きです。
精米工場の働き
- 玄米以外のものを取り除く
- 玄米から白米へ精米する
- 精米されたお米の中から割れたお米、色のついたお米、小さなお米などを取り除く
- 袋詰めする
精米工場の工程
精米工場ではどんな危害が想定できる?
まずは、精米工場の大まかな工程イメージをご説明しました。次にHACCP的な、食品安全についての危害分析です。精米工場はドライな環境で、「お米」自体も玄米から白米段階まで、水分値は概ね15%台~13%台と低く、細菌や毒性のある物質の生成、混入などの人体に重篤な影響のある危害の可能性は極めて低い環境にあります。
それではどんな危害が考えられるでしょうか。それは、ごはんを口にした時に外傷を与えるもの、硬質異物の存在です。プラスチック片、金属片、石などが該当します。これらを確実に取り除き、「精米製品」の中に存在させないことが当社の精米ライン上のCCPです。
精米工場で想定される危害
- ごはんを口にした時に外傷を与えるもの、硬質異物の存在
精米工場のHACCP
精米HACCP認定工場として、PRPをはじめとして取り組みを行っておりますが、細かくなりすぎるので、今回はハード面(選別機械)を中心に工程ごとにわかりやすく説明したいと思います。
粗選機
玄米の中に混じっているわらくずなどの粗ごみを取り除きます。田んぼにもいろいろなものが落ちています。今はコンバインでの収穫が主なので、稲以外にも異種植物や石なども混じってきます。
取り除くもの
石抜き機
玄米の中に混じった小石を選別します。田んぼで転んだ稲は穂先が地面についた状態です。これをコンバインで刈り取るときに倒れた穂先に石がついたまま収穫されることがあります。
取り除くもの
精米
ロータリーシフター
いろんな網目のふるいです。米粒より大きいもの、小さいものを選別します。割れたお米(砕米)やぬか玉(米糠が固まったもの)が主に選別されます。
取り除くもの
色彩選別機 CCP(重要管理点)
当工場の最初のCCPです。流れる米粒を一粒ひと粒カメラでとらえ、色の違ったもの(石、ガラス、異種穀粒、着色粒、シラタなど)をエアーで弾き飛ばします。これまでの工程で取り除けなかった異物をこの機械で除去します。
取り除くもの
- 草の実
- 未熟粒
- 着色粒
- ガラス、プラスチックなどの人工物
金属検出器
ラインを流れる精米中に混じった金属に反応し、ライン上から排出します。
ぬか玉取り機
ライン上で発生、混入したぬか玉を選別除去します。
包装
金属検出器 CCP(重要管理点)
包装後に、製品中に金属が混入していないかをチェックします。
厚生労働省内の米穀業界向けHACCPの手引書
HACCPは事業規模の大小にかかわらず取り組み出来る手法です。米穀業界でもマネジメントの標準となる手引書を作成して業界全体で取り組んでいます。
厚生労働省ホームページ 各業界の手引書を掲載しています。
継続的な取り組みが重要
これまでのところで当社の精米工場全体の流れを含めて説明してきました。HACCP手法は精米工場に限らず、すべての食品事業者に求められるため、実際にはハード面(選別機械)以前にソフト面(マネジメント等)がより重要になってくるかと思います。
安全性も併せて、品質向上への取り組みは継続的なものでなければならず、従業員一人ひとりの理解度が取り組みへのカギとなってきます。
当社も精米HACCPの認定を受けて6年経ちましたが、品質と安全性に関してはまだまだ途上だと感じる部分も多く、継続して取り組むことが大切だと感じています。
取り組みの中での経験や情報など何かお役に立てる機会があれば、少ない経験ですがぜひお気軽にお問合せ下さい。