社長コラム13 米穀流通2040ビジョン

精米 玄米 社長コラム

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当社代表の塩沢均による連載コラムです。

Shiozawa@2x-1

社長の塩沢です。
ベイクックについてはもちろん、稲作や長野米のお話、その時々の話題や情報など私なりに感じたことをお届けしていきたいと思います。どうぞお付き合いください。

 

いささか旧聞という感じになりますが、6月12日に全米販(「全国米穀事業共済協同組合」の略。米穀卸売業者の国内最大の団体。)が一つの提言を発表しました。その名も『米穀流通2040ビジョン』。

コメを取り巻く市場が、このまま行くと2040年にはどうなってしまうのか?それを回避するためにはどういった手段が考えられるのか?このようなことをシンクタンクの日本総研さんと共にまとめた提言書です。

ショッキングなのは市場予測です。このまま何もせずに手をこまねいていると、2030年代後半には国内供給量で需要量をまかないきれなくなる、とこの提言書では述べられています。同じような予測はNHKの番組でも特集されていたことがありましたし、農水省の予測でも似たような見解が出されています。

過去何十年にわたり、需給のバランスを取り米価を安定させるために生産量を抑制してきました。名称ややり方は変わっても、その考え方は現在も変わっていません。ところが昨今の見立てでは「需要減少のスピードより、供給減少(言い換えれば、作り手がいなくなる)スピードの方がずっと速くなる」と言われたのですから、現場にいる我々は戸惑ってしまいますよね。

ただ一方で「やはりな…」という思いもあります。生産地にいると、生産者さんの悩みも聞こえてきます。その中でも大きいのは、後継ぎ、担い手がいないというものだったりします。コメ農家さんの平均年齢も年々上がって行くわけで、いつまで続けられるのか?辞めたらどうなるのか?そんな潜在的な不安が顕在化するのがこれからの10年ということなのかもしれません。

誤解なきよう申し上げると、このビジョンはこうした悲観的な予測を知らしめるためのものではなく、何もしなければそうなってしまうコメの市場において、「そんな風にならないため」「そんな中で生き残っていくため」に、我々のような米穀卸売業者がどうしていくべきかを示唆するものです。コメに関係する方々には是非一度目にしていただければ幸いです。

⽶穀流通2040ビジョン