社長コラム14 10年ぶりにコメの需要量が増加

精米 玄米 社長コラム

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当社代表の塩沢均による連載コラムです。

Shiozawa@2x-1

社長の塩沢です。
ベイクックについてはもちろん、稲作や長野米のお話、その時々の話題や情報など私なりに感じたことをお届けしていきたいと思います。どうぞお付き合いください。

 

7月30日に農水省が開催した食糧・農業・農村政策審議会の食糧部会で、6月30日現在の主食用米に関する指標が示されました。

それによると、市中在庫量は156万㌧ということで、前年同期の実績を41万㌧(20.8%)下回り、統計を取り始めた平成11年以降で最少となったそうです。今年3月末の農水省の見通し(177万㌧)と比べても21万㌧(6.8%)少ない結果となりました。農水省は在庫率から見て「需給ひっ迫ではない」と強調していますが、食品スーパーのコメ売場の商品棚がスカスカになっている現状は、こうしたデータが物語っているかと思います。

こんなに急激に在庫が減った理由として、精米歩留りの低下とインバウンド急増等による需要の増加を挙げているのは以前このコラムでも記した通りです。
社長コラム12 米価上昇のワケ

ただこの中で需要の増加については驚くべき数字でした。

主食用米の需要減少について暦年の課題でありながら解決が糸口すら見えず、「年6万㌧の減少」が昨今では「年10万㌧の減少」となっていました。それがこの1年は、前年実績を11万㌧上回るという、10年ぶりの増加という結果だったのです。

「コメの需要の復活だ!」と喜びたいところでありますが、それはちょっと気が早いというものかも知れません。過去20年で3回、コメの需要量が前年を上回ったことがありましたが、その3回とも次の年は大きく需要を減らしています。だから農水省も1年の結果だけで軽々に判断はできないと言っています。しかし、現状がコメにとってチャンスであることは間違いありません。これを活かせるかどうかは、生産から流通までコメに関わる私たちのこの先のアクションにかかっていると思います。

過去3回の需要回復時は他の食品(特に小麦粉原料のパンや麺)と比較した場合の相対的な「値頃感」がその背景にあったと言われていますし、今回もそうした要素が強く働いているようです。とすると足元の米価、そしてこれから始まる令和6年産米の価格には細心の注意を払う必要があるのではないでしょうか?

もちろん、生産者の皆さんが再生産できる価格を確保することは必須です。精米加工をしたり、流通を担う我々のような業者にも同じことが言えます。価格設定に知恵を絞った上で、消費者の皆さんに「コメは高い…」と思われない価格でお届けすることができれば、今の需要の勢いを急激に削ぐことなく令和6年産の市場に向かえるのではないでしょうか。