当社代表の塩沢均による連載コラムです。
社長の塩沢です。
ベイクックについてはもちろん、稲作や長野米のお話、その時々の話題や情報など私なりに感じたことをお届けしていきたいと思います。どうぞお付き合いください。
令和5年産米の市場が本格化してきました。
今年は例年以上に夏の酷暑や少雨による農産物へのダメージが大きかったようで、野菜や果物にどんな被害があったかという報道が随分多かった気がします。コメはどうだったでしょうか?農水省発表の9月25日現在の作況指数によると、新潟県や秋田県のように「やや不良」だった地域もありますが、全国平均は100と「平年並み」でした。
品質はというと、一等米比率がぐっと低下した地域が多かったのは確かですが、コメの等級は食味を表すものではありませんし、味は問題ないものがほとんどかと思います。
そんな中、ここではこのコラムを読んで頂いている皆さんに今年の米価についてちょっとだけ説明させて下さい。
全米販(全国米穀販売共済事業協同組合)という当社も所属している米穀業者の業界団体があるのですが、先日この団体が今年の米が昨年の米に比べどの程度コストアップしているかを所属各社に調査しまとめた結果が発表になりました。
それによると、原料玄米の値上げ分が25.5~42.6円、人件費を含めた製造コストが3.0~4.1円、輸送コストが1.3~1.7円、全体で29.8~48.4円の値上げ(いずれも精米1kg当たり)になっています。当社の製品もこの枠の範囲でありますが、お客様に値上げをお願いしているところです。
「作況指数も低くないし、コメは十分獲れているはずなのに、なぜ?」とか「そもそもコメは消費が減少していて余り基調なのだから、米価は下がりこそすれ上がるなんて…」といった声も耳にします。確かにかつてであれば米の収穫具合によって新米の価格は概ね決まっていました。ただ昨今、諸物価の急激な高騰により米の生産コストも驚くほど上昇していますし、前述のような値上げをしても利益が残らない場合もあるのが現状です。
世界規模のパンデミックや紛争を契機に日本の食糧安全保障が話題に上がることも多くなりましたが、米の価格もそんな観点を踏まえて考えて頂けるとありがたいと思います。